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第4回Biophysics and Physicobiology論文賞

会誌55巻1号および学会ホームページにて会員の皆様にご推薦をお願いした第4回Biophysics and Physicobiology論文賞(旧BIOPHYSICS論文賞)ですが、下記の通り受賞論文が決定いたしましたので、ここにお知らせします。

Tomohiko Hayashi, Azuma Matsuura,Hiroyuki Sato and Minoru Sakurai

“Full-Quantum chemical calculation of the absorption maximum of bacteriorhodopsin: a comprehensive analysis of the amino acid residues contributing to the opsin shift”

BIOPHYSICS Vol.8 pp.115-125 (2012)

【受賞理由】
 本論文には、バクテリオロドプシンの吸収極大波長の制御メカニズムを、理論計算により解析した結果がまとめられている。ロドプシン類は分子内に発色団としてレチナールを含み、可視部から近紫外部にかけての約300 nmの波長領域に吸収極大を示す種類がある。これは、レチナールがまわりのアミノ酸残基との相互作用によって吸収波長を大きく変化させる性質を持つからである。そこで、この波長シフトのメカニズムの実験的・理論的研究が過去50年にわたり続けられている。本論文で著者らは、全原子に対して量子化学計算を行い、かつその計算を226個の変異体にも適用することにより、波長シフトに重要な役割を果たす残基とそのメカニズムを理論的に明らかにすることに成功した。網羅的な理論研究としての本研究の価値は非常に高く、ロドプシンの波長シフトの研究に与える影響はきわめて大きい。また、今後の研究の展開にも重要な示唆を与える。
 以上の理由により、本論文を第4回Biophysics and Physicobiology論文賞にふさわしい論文であると認める。

2015年6月
Biophysics and Physicobiology論文賞選考委員会

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