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第6回Biophysics and Physicobiology論文賞の発表

会誌57巻1号および学会ウェブサイトにて会員の皆様にご推薦をお願いした第6回Biophysics and Physicobiology 論文賞(旧BIOPHYSICS 論文賞)受賞論文が決定いたしましたので、ここにお知らせします.

Takeshi Kawabata, Yusuke Sugihara, Yoshifumi Fukunishi, Haruki Nakamura
"LigandBox: A database for 3D structures of chemical compounds"
 BIOPHYSICS Vol.9 pp.113-121 (2013)

【授賞理由】
化合物の立体構造情報データベースLigandBoxがウェブ公開された。無料で利用できるLigandBoxはドッキングのバーチャルスクリーニングにおける障壁を軽減し、創薬科学分野の発展に大いに貢献するだろう。LigandBoxの特長は、まず各化合物の水溶性(logS)や発がん性の指標が登録されていることで、活性が期待できる化合物や臨床使用可能な化合物を迅速に選別できる。さらに、他の立体構造データベースには登録されていないユニークな化合物が100万種類登録されている。このようにオリジナリティの高いデータベースを実現した背景には、化合物の二次元的な構造情報から三次元の立体構造情報を構築するプロセスに分子シミュレーションプログラムパッケージmyPrestoを使用したことが挙げられる。そのうえ、構造探索アルゴリズムとしてMaximum common substructure (MCS)検索プログラムkcombを採用した。kcombを使った類似構造探索は、対応する原子を明確に表示する仕様となっているため、2つの化合物の構造類似性を直観的に理解できる。myPrestoおよびkcombも著者らのグループで開発されたプログラムであり、LigandBoxは分子シミュレーションの成果を集約したデータベースだと評価できる。
 本研究にはシミュレーションの特長が存分に発揮されており、in-silicoの可能性を強く感じさせる論文である。創薬をはじめとするさまざまな生化学分野においてLigandBoxが標準ツールとなることを期待し、本論文に第6回Biophysics and Physicobiology論文賞を授与する。

2017 年7 月
Biophysics and Physicobiology 論文賞選考委員会

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