Q&A

生物物理に関するQ&Aです。質問をクリックすると回答を開きます。

Q1. 生物物理って何ですか?生物と物理がいっしょの科目ですか?

高校ではそれぞれ別々の科目です。物理は、物質の根源を探って、現象を支配する法則を明らかにする科学です。生命は生体物質に支えられています。 生命現象を理解するということは、物理学の目標の1つといえます。生物物理は、あらゆる生命科学の基礎になる科学といえます。

Q2. 大学のどういう学部に入ったら、生物物理を勉強できますか?

大学の理科系の学部なら、たいていは生物物理の研究室があります。日本生物物理学会のウェブサイトには生物物理の研究室の紹介があるので、それを参考にしてください。 研究室の公開をしたり、質問を受付けてくれるところもあるから、直接、研究室の先生に電子メールを出して問い合わせてみるのもいいですね。

Q3. 高校では、物理をとっているんだけど生物物理をやるのに生物をとっていなくても大丈夫ですか?

大丈夫です。でも、遺伝子組換え食品とか臓器移植とかの話題がよくニュースになりますね。そのときに、新聞の解説を読んだり、参考になる本を見たりしておくといいですね。 生物をとっている人の中には、物理を敬遠する人がいるかもしれないけれど、原理だけは理解しておいてください。化学が好きな人も、生物物理には向いています。

Q4. 大学卒業後には、どんな進路があるのですか?

研究者になりたかったり、企業で研究開発をしたかったら、大学院へ進む必要があります。卒業してすぐ就職するなら、バイオ関連や、化学、食品、精密機器、情報など、広い分野に活躍の場があります。 それに、21世紀はバイオと情報の時代といわれているから、生物と物理の両方に強い生物物理の出身者はとっても期待されています。

Q5. 生物物理は、とてもおもしろそうだと思ったんだけど、何かよい入門書はありますか?

生物物理の全体をまとめて捉えたいのなら、講談社ブルーパックスの「新・生物物理の最前線」がいいと思います。日本生物物理学会のウェブサイトには、関連する本を紹介しています。

Q6. DNAって何ですか?

DNAが遺伝子で、生命活動に必要な情報(遺伝暗号)をもっています。遺伝暗号はDNAのもつ4つのアルファベット(A,T,G,C)の並び方で書かれています。 たとえば、私たちの体は1個の受精卵から始まります。受精卵が細胞分裂をくり返し、組織や器官に分化して体ができあがります。それらのしくみはすべて遺伝暗号に書きこまれています。

Q7. タンパク質は栄養素じゃないのですか?

DNAのアルファべットにしたがって、アミノ酸がつなげられてタンパク質が作られます。作られたタンパク質は固有の立体構造に折りたたまれることでちゃんと働くことができます。 どのようにして複雑な構造に折りたたまれるのかというのも生物物理のチャレンジングな問題です。

Q8. タンパク質が働くとはどういう事ですか?

サッカーをするとき、ボールを蹴ったり、走りまわったりして、筋肉を使います。筋肉がどうやって力を出すかわかりますか?筋肉のタンパク質が化学エネルギーを力学的エネルギーに変えます。 このエネルギー変換のしくみを調べるのも、生物物理の最先端の研究の1つです。

Q9. 生物が外からの刺激に反応するのはどういう働きによるのですか?

外からの刺激を情報として受けとる受容体タンパク質があって、それが信号を送るので、脳で感じたり、反応したりすることができます。だからこれもタンパク質の働きです。 私は、味を感じるための味覚受容体というタンパク質を研究しています。そのためには、まず、そのタンパク質の構造を詳しく知る必要があります。

Q10. タンパク質の構造ってどうやって調べるのですか?

タンパク質を構成している原子の位置を3次元的に決めます。そのためにはタンパク質の結晶にX線をあてて調べます。播磨にあるSPring8という研究所には強力なX線をあてる装置があります。