「生物物理」誌(学会PDF版) 目次・PDF file閲覧

「生物物理」誌(学会PDF版)閲覧

  • 最新刊は上記より冊子(号)単位のみダウンロードできます(エンバーゴ設定:公開方法変更)。
  • 以前のものは上記ボタンのほか、下記から各記事ページへリンクされます。

  • 大陽日酸株式会社
  • 株式会社ニコン ソリューションズ
  • オリンパス株式会社
  • ソーラボジャパン株式会社
  • クロマテクノロジジャパン合同会社

Vol. 62 No. 2(通巻360号)記事一覧

解説

多様な光に適応する藍藻のシステムバイオロジー
清水 浩,戸谷 吉博

地球規模のCO2問題が叫ばれる中,光合成微生物による化学物質や燃料の環境調和型生産の重要性が注目されている.シミュレーション,代謝フラックス解析,進化工学といったシステムバイオロジーの手法による多様な光環境における藍藻(シアノバクテリア)の光合成システムに関する最近の研究成果を解説する.

総説

FLUID3EAMS:マイクロ構造中での流体界面エネルギーによる3次元液滴周期構造の生成と生体工学への展開
矢菅 浩規

本稿では,“fluid-fluid interfacial energy driven 3D structure emergence in a micropillar scaffold (FLUID3EAMS)”に関する最新の研究とその応用について解説する.FLUID3EAMSとは,流体-流体界面が3次元の足場構造を通過する時に3次元に配列された微小液滴が生成される現象である.この現象の応用技術を用いることで,細胞のマイクロカプセル化などが実証されており,将来的に生体工学への応用が期待される.

トピックス

RNA干渉でみえてきたゾウリムシが機械刺激に対して逃走反応を引き起こすしくみ
堀 学,石田 正樹,冨永 貴志

ゾウリムシの細胞後端への機械刺激は,過分極による繊毛内cAMP濃度の上昇によって遊泳速度の増加を引き起こす.我々は,細胞膜と膜直下の骨格構造の間に局在するストマチン様タンパク質が機械刺激を受容し,繊毛基部のK+チャネル型アデニル酸シクラーゼを活性化するため,遊泳速度が増加することを見つけた.

DASH型クリプトクロムのDNA修復機能発現に関する理論的考察
佐藤 竜馬,森 義治,松井 理紗,沖本 憲明,山元 淳平,泰地 真弘人

DASH型クリプトクロムは発見当初,紫外線損傷DNAを光回復できると推定された.しかし,現実にはその機能を発現せず,その明確な理由は明らかではない.本稿では,紫外線損傷DNAの光回復に欠くことのできない電子移動反応および基質の認識・結合の観点から機能の非発現の理由について調べた研究について紹介する

QM/MM法に基づいた溶液系のプロトン移動シミュレーション
渡邉 宙志

水素イオンは生体分子の理解に重要だが,分子シミュレーションにおいて最も取り扱いが難しい対象で,従来小さな系でのダイナミクスしか再現できなかった.今回,ハイブリッド分子モデルQM/MM法を拡張することでバルクでのプロトン輸送を再現した.これによりタンパク質など巨大系のプロトン輸送も取り扱い可能になる.

ナノダイヤモンドを用いた細胞内熱伝導率の計測
外間 進悟

ナノ温度計として機能する蛍光性ナノダイヤモンドとナノヒーターとして機能するポリドーパミンを融合させることによって,ナノ領域の熱伝導率を計測可能なナノシステムを新開発した.細胞の熱伝導率を計測した結果,従来考えられてきた水よりも著しく低く,細胞内構造に由来する大きなばらつきを持つことが示唆された.

細胞死過程におけるATP濃度のダイナミクス
今村 博臣

細胞内のエネルギー運搬体であるATPは,細胞がアポトーシスで死ぬとパネキシン-1チャネルの働きで細胞から消失することがわかった.細胞内にATPを残存させると死んだはずの細胞も活動を続けたことから,死細胞からのATPの消失は細胞が活動を停止して完全に死ぬために必要なプロセスであることが明らかとなった.

生体計測応用を指向した近接場光学顕微鏡の新技術
馬越 貴之

近接場光学顕微鏡は,微小な近接場光を用いて,超解像イメージングを行う超解像顕微鏡法の一種である.ラマン分光法など,様々な光計測法を超解像化できるのが特長である.本稿では,特にバイオイメージング応用の視点から,近接場光学顕微鏡の最新技術について紹介する.

二光子顕微鏡法の高解像化・高速化への展開
大友 康平,山口 和志,石井 宏和,根本 知己

多様な蛍光顕微鏡法のうち,特に生体深部の微小構造を対象とした可視化手法として提案されたのが二光子顕微鏡法である.我々は,本法の特徴をできる限り維持したままに機能向上を図る技術開発研究を行ってきた.本稿では,特に高解像化・高速化に関する取り組みについて紹介したい.

リソース過負荷の遺伝的プロファイリング
守屋 央朗

タンパク質を過剰発現するとタンパク質合成や輸送,折りたたみなどのプロセスに過負荷をかけ増殖阻害を引き起こすと考えられている.しかし,この過負荷の実態となる制限要因は明らかになっていない.筆者らは酵母の変異株を体系的に調査し,タンパク質合成と核外輸送の制限要因を遺伝的にプロファイリングした.

モータータンパク質でつくる光造形可能な人工筋肉:分子設計からマイクロデバイスまで
平塚 祐一,新田 高洋

筋肉は分子レベルから階層的に組み上げられた精巧な分子システムである.我々は工学的なアプローチで筋肉の人工合成(人工筋肉)とメカニズムの解明を目指している.本稿では,遺伝子工学的に改変したモータータンパク質を用いて,光照射した特定の部位に人工筋肉を自発的に形成させる手法と,その応用例について解説する.

「生物物理」誌(学会PDF版)閲覧

  • 最新刊は上記より冊子(号)単位のみダウンロードできます(エンバーゴ設定:公開方法変更)。
  • 以前のものは上記ボタンのほか、上記から各記事ページへリンクされます。


前のページに戻る