日本生物物理学会は1960年12月10日に設立され、初代会長は小谷正雄氏でした。1962年5月には、大阪の日生研修所で第1回学術講演会(日本生物物理学会年会)が開催され、 一般講演50件、特別講演4件が3日間にわたり2つの会場で行われました。
本学会は IUPAB(International Union of Pure and Applied Biophysics)に加盟しており、3年毎に開かれる国際生物物理学会議には代表を送ると共に、会員も積極的に参加しています。 それに関連して、1978年には本学会が中心になり、京都で第6回国際生物物理学会議が開催されました。この会議には、全世界30ケ国から約 2,000人が集まり、その後の日本生物物理学会の発展に寄与することとなりました。 また、1988年には、第2回日中合同生物物理学シンポジウムが京都で、1994年には第1回東アジア生物物理学シンポジウムが兵庫で開催され、2006年には第5回東アジア生物物理学シンポジウムと第44回日本生物物理学会年会の合同会議が沖縄で開催されました。
学会の活動としては、学会誌である「Biophysics and Physicobiology」と「生物物理」の発行および学術集会の主催が中心です。「生物物理」は年7回発行されており、そのうち1回は年会の予稿集です。 年会では、この他に機器展示会や懇親会等も行われます。また年会の会期中には総会が開かれ、一般会員を含めて学会運営についての議論がなされています。 年会の講演内容からみた本学会の研究テーマには、「タンパク質の構造と機能」「核酸・脂物質の構造と機能・物性」「電子状態」「水・水和・電解質」「生体 運動」(筋収縮、細胞運動、モーター分子) 「光生物」(視覚、光受容、光合成)「生体膜・人工膜」(構造、物性、チャンネル)「発生・分化」「脳・神経等のあらゆる生体機能」「非平衡・生体リズ ム」「放射線生物」「進化・生命の起源」 「生体計測・バイオイメージング」「数理生物」等があり、非常に多岐にわたっています。また、細胞生物学、分子生物生理学、生化学などの周辺関連分野と協力するだけでなく物理学、化学、工学分野とも協力しつつ構造生物学、情報生物学、理論生物学などの21世紀の新しい生物物理学の中核となるべき分野を構築 しようという機運が生まれています。
21世紀からは学会の国際化の傾向が強くなり始め、海外からの年会参加者や招待講演者が増えてきています。2005年からは、オーストラリアと日本の生物物理学会員が同等の資格で相互の年会に参加できるようになりました。2006年の第44回年会は東アジア生物物理学シンポジウムとの合同開催で、 招待講演や一般発表もすべて英語とし、参加地域もインド、オーストラリア、ニュージーランドなどを含むアジア・オセアニア全域に広がりました。2006年以降はアジア生物物理学連合として3年ごとの国際会議を開催しており、国内の年会もすべての発表を英語にするなど、国際化が加速しています。
学会の活動が大きくなるにともない、その運営基盤を強固にする必要が出てきました。そこで、任意団体としての日本生物物理学会は2013年をもって解散し、2014年1月に一般社団法人日本生物物理学会として再スタートしました。法人化により、学会の活動基盤をより盤石なものとし、これまでの活動をよりいっそう強く推し進めることができるようになりました。
任期 | 氏名 | 所属(当時) |
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2021.6-2023.6 | 野地博行 | 東京大学 大学院 工学系研究科応用化学専攻 |
2019.6-2021.6 | 原田慶恵 | 大阪大学 蛋白質研究所 |
2017.6-2019.6 | 神取秀樹 | 名古屋工業大学大学院工学研究科 |
2015.6-2017.6 | 中村春木 | 大阪大学 蛋白質研究所 |
2014.1-2015.6 | 七田芳則 | 京都大学 大学院 理学研究科 |
2012-2013 | 難波啓一 | 大阪大学 大学院 生命機能研究科 |
2010-2011 | 片岡幹雄 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
2008-2009 | 曽我部正博 | 名古屋大学・医学部 |
2006-2007 | 美宅成樹 | 名古屋大学・工学部 |
2004-2005 | 石渡信一 | 早稲田大学・理工学部 |
2002-2003 | 柳田敏雄 | 大阪大学・基礎工学部 |
2000-2001 | 郷 通子 | 名古屋大学・理学部 |
1998-1999 | 松本 元 | 理化学研究所 |
1996-1997 | 宝谷紘一 | 名古屋大学・理学部 |
1994-1995 | 郷 信広 | 京都大学・理学部 |
1992-1993 | 葛西道生 | 大阪大学・基礎工学部 |
1990-1991 | 池上 明 | 慶應大学・医学部 |
1988-1989 | 大西俊一 | 京都大学・理学部 |
1986-1987 | 京極好正 | 大阪大学・蛋白研 |
1984-1985 | 朝倉 昌 | 名古屋大学・理学部 |
1982-1983 | 江橋節郎 | 生理学研究所 |
1980-1981 | 大井龍夫 | 京都大学・化学研究所 |
1978-1979 | 寺本 英 | 京都大学・理学部 |
1976-1977 | 大澤文夫 | 大阪大学・基礎工学部 |
1974-1975 | 和田昭允 | 東京大学・理学部 |
1972-1973 | 右衛門佐重雄 | 名古屋大学・理学部 |
1970-1971 | 大澤文夫 | 名古屋大学・理学部 |
1968-1969 | 小谷正雄 | 東京大学・理学部 |
1967 | 寺本 英 | 京都大学・理学部 |
1966 | 大澤文夫 | 名古屋大学・理学部 |
1965 | 渡辺 格 | 東京大学・理学部 |
1963-1964 | 今堀和友 | 東京大学・理学部 |
1962 | 大澤文夫 | 名古屋大学・理学部 |
1960-1961 | 小谷正雄 | 東京大学・理学部 |
日本生物物理学会では、歴代の会長や、生物物理学の分野で顕著な研究業績をもち学会の重要な役職を勤めて学会の発展に貢献された方を名誉会員に推薦し、理事会における議決の後に名誉会員として学会にお迎えしております。日本生物物理学会の名誉会員は、以下の方々です。
氏名 | ||
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小谷 正雄* | 大沢 文夫* | 今堀 和友* |
渡辺 格* | 寺本 英* | 右衛門佐 重雄* |
和田 昭允 | 大井 龍夫* | 江橋 節郎* |
朝倉 昌* | 大西 俊一* | 池上 明* |
京極 好正* | 葛西 道生* | 郷 信広 |
郷 通子 | 宝谷 紘一* | 斎藤 信彦* |
三井 利夫 | 吉澤 透 | 石渡 信一 |
津田 基之 | 柳田 敏雄 | 須貝 新太郎* |
松田 博嗣 | 籏野 昌弘 | 美宅 成樹 |
曽我部 正博 | 永山 國昭 | 片岡 幹雄 |
木下 一彦* | 難波 啓一 | 七田 芳則 |
中村 春木 | 木寺 詔紀 | 藤吉 好則 |
* は故人