2016年04月13日 会合
日時:2016年5月12日(木)~13日(金)
会場:大阪大学 蛋白質研究所 1階講堂
趣旨:
かつて不可能であった膜タンパク質の構造決定が、さまざまな工夫により次々に実現した結果、膜タンパク質の構造機能相関に関する研究は新たな段階に入った。原子分解能での構造をもとに、タンパク質の機能が発現するメカニズムを議論できる時代が到来したのである。
膜タンパク質機能の完全な理解のためには、静的な構造をもとにして「構造ダイナミクス」と呼ばれる機能発現の際の構造変化を明らかにする必要があるが、これは決して容易なことではない。ナノメータサイズの膜タンパク質分子がサブオングストロームレベルで行う構造変化の時間スケールはミリ秒からマイクロ秒、あるいはそれ以下のダイナミクスが機能発現に関わる可能性がある。タンパク質分子のもつ広大な時空間の階層構造の中で起こる構造ダイナミクスを理解することが今、求められているが、このためには構造解析の研究者と機能解析の研究者が連携して構造ダイナミクスの解明に取り組むと同時に、計算科学の研究者の貢献も大いに期待される。
本蛋白研セミナーでは、膜タンパク質の構造ダイナミクス研究に携わる実験研究者と理論研究者が一堂に会し、真の理解に向けた交流の機会を提供する。
世話人:神取秀樹(名工大)、岡村康司(阪大)、鷹野優(広島市大)、中川敦史(阪大)
プログラム:
●5月12日(木)
13:00-14:40
笠原浩太(立命館大)
分子シミュレーションで解き明かすK+ チャネルにおけるイオン透過の微視的ダイナミクス
大澤匡範(慶應大)
Gating modifier toxin による電位依存性カリウムイオンチャネル阻害の構造基盤
佐々木裕次(東大)
イオンチャネル動画を実現したX線1分子追跡法
久保泰(産総研)
イオンチャネルの遷移状態識別プローブ創製に向けて
15:00-16:40
阿部一啓(名大)
電子線結晶学と機能解析に基づいた胃プロトンポンプの構造生理学
西澤知宏(東大)
結晶構造から見る膜タンパク質のダイナミクス
古田忠臣(東工大)
分子シミュレーションで探るABC トランスポーターの機能的ダイナミクス
渡邉力也(東大)
生体膜マイクロチップを利用した膜輸送体の構造機能解析
17:00-18:15
内橋貴之(金沢大)
高速AFM による膜タンパク質のダイナミクス観察
岩田想(京大)
SACLA を用いたタンパク質結晶時間分割構造解析
今元泰(京大)
ロドプシン活性化の一分子ダイナミクス
18:30-20:00
懇親会
●5月13日(金)
9:00-10:40
久保稔(理研)
膜タンパク質の反応解析に向けた赤外分光技術の開発と膜内在性金属酵素への応用
稲垣成矩(阪大)
自由行動マウスの脳活動計測を可能にする化学発光膜電位センサーの開発
古谷和春(阪大)
膜電位によって制御されるムスカリンM2 受容体依存的シグナル伝達
佐藤毅(阪大)
受容体型チロシンキナーゼの膜貫通-膜近傍部位の構造機能解析
11:00-12:15
禾晃和(横浜市大)
マルチドメイン型細胞表面受容体によるリガンド結合と解離の調節
宮下尚之(近畿大)
アルツハイマー病初期機構における脂質と鍵となる膜タンパク質の相互作用
岩本真幸(福井大)
膜脂質がカリウムイオンチャネルのゲート開閉を制御する分子機構
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問い合わせ先:
中川敦史 〒565-0871 吹田市山田丘3-2 大阪大学 蛋白質研究所
Tel: 06-6879-8635 Fax: 06-6879-4313
Email: atsushi@protein.osaka-u.ac.jp
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